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 ●コラム:時計とライト                かくだよしあき
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  僕は時計とライトがかなり好きらしい。
  気がつくと部屋にはそんな本やカタログがいっぱいあって、しかも外でも
  そればかり見ている。
  ついには友人が自宅に遊びに来たときに、あたりを見渡し「時計とライト
  が好きなの?」と言われた。自分がいつのまにかコレクターになっていた
  んだと、そのとき僕は初めて自覚した。

  特にライトかなり好きみたいで、いろんなメーカーのライトを知っている
  し、また、実物を見るために何回もショールームに行ったりしている。

  好きなライトは沢山あるけど、特に好きなのが、ポール・ヘニングセンの
  PH5だ。
  これはデンマーク製のペンダントライトで、シェードが幾重にも重なり、
  電球が直接見えにくくなっていて、光が反射しながらテーブルを柔らかく
  照らしてくれる。しかも、そのシェードの裏と表の色が違っていて、その
  コントラストが楽しい。
  このライトはAppleのショールームであるAppleCenterでも使用されていて、
  ここをデザインしているB&O(Bang & Olufsen)も推薦しているということ
  だろう。

  それから、僕が恋い焦がれているライトがある。
  FLOS社の「ROSY ANGELIS」だ。名前が、またおしゃれだ。
  これは、三本の足の上に輪っかがあり、そこから布がスレードの様に垂れ
  下がっている。
  光源は、その白い布のスカートのような中にあり、そこから布を通して、
  とても柔らかい光を放っている。名前はこの白いスカートの部分が、天使
  の羽のようなので「明るい天使」と言っているのか、スレードの上の輪っ
  かが丸くて天使のリングのようだからなのかは解らないが、とにかく、こ
  の「ROSY ANGELIS」という名前がぴったりのライトだ。

  これは、もう3年前から欲しくて欲しくて仕方がなかったのだけれど、色
  が2色と輸入先が2ヶ所あって、微妙に違うことで悩みに悩んで、結局、
  買えずにいた。
  この製品は福岡であればCONRAN SHOPやCassinaなどに展示し
  てあるのでいつでも見ることができるが、ホテルなどの公共的な場所にあ
  るものは、これらのものとは少し違っている。
  それはヤマギワがイタリアから輸入し、日本の法律でも問題ないように少
  し改造してあり、倒れると自動的に電源が切れる仕組みになっている。ま
  た、もともと付いているライトの下の棒を回すことによって調光できる機
  能は省かれている。
  よって、輸入先と2色の色で合計4種類あり、3年間悩み続けてきたのだ。
  しかし、最近、福岡にもCONRAN SHOPとCassinaができ、やっ
  と決断して買うことができた。
  どれを買ったのかは、部屋に遊びに来たときの楽しみにとっておこう。

  僕がどうしてこんなにライトや時計が好きかというと、それは機能とデザ
  インの融合があるからだろうと思う。
  本来、機能とデザインは互いに主張し対立するもので、見た目のデザイン
  を良くすると機能が劣り、機能を追い求めると見た目のデザインが悪くな
  る。この相反するものを追及することが、本当のデザインであり、デザイ
  ナーの醍醐味とも言え、また楽しいところでもあると思う。

  たとえば、カレンダー!! これこそが、この相反するもののバランス感
  覚を感じやすいものではないかと思う。
  ドイツ製のすごくカッコいいカレンダーがあるのだけれど、これは、全く
  役に立たない。反対に、見やすく、スケジュールなどが書き込めて便利な
  ものは、使い勝手は良いがデザインはもう一つという感じになる。
  一長一短である。

  そんな常識を破るべく、デザインを追及していて、その戦いやバランスな
  どを楽しませてくれるのが、僕にとっては「時計」と「ライト」なのだ。
  これらは、「時を伝える」「まわりを照らす」という大切な機能がありな
  がら、デザインを良くし、雰囲気を良くしなくてはならない。

  ほんとにすごいデザイナーになると、画期的な方法で、機能もデザインも
  両方すぐれているものを作りあげてしまう。そして、それだけではなくて
  さらに付加価値までをも生ませてしまう。
  僕はこれを、「二兎を追う者は三兎を得る」だと思っている。
  それが、いちばんよく現れるのが「時計」と「ライト」なのだと思う。

  僕は、きっと「時計」と「ライト」の中に、二兎を追っている人の姿を想
  像し、そして、その試行錯誤を一緒に楽しみたくて買ってしまうのだろう。

  「二兎を追う者は一兎も得ず」と普通は言うけれど、真剣に二兎を追い、
  工夫と努力を行なえば、三兎でも四兎でも手に入れることができるのだと
  僕は思います。


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