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 ●コラム:賛反長短                  かくだよしあき
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  僕は人の名前を全く覚えられない。会ったことや、一緒に食事をしても、
  いつ、どこで、だれと何を食べたか、まったく覚えていない。
  話した内容も、決めたことも覚えがない。

  また、漢字や英語の単語、歴史上の人物の名前、年号、公式なども、全然
  覚えられない。
  その文字の配列に意味がないので、記憶にとどめられないのだ。

  たとえば、漢字の帰るという字は「リ」が左側にあるが、どちらかにあっ
  たことは覚えられても、それが右なのか左なのかは、何の意味もないよう
  に思えるので、覚えられないのだ。
  そのように意味のない言葉の配列を、ただ記憶しなければいけないものは、
  僕にとって非常に困難なのだ。

  だから、僕はスケッチブックを持ち歩いて、いつもそれにメモを書く。
  また、文章的なメモだと、それを読んでも記憶がよみがえらないので、そ
  こに、絵を描いたり図を書いたりして、記憶を呼び起こすキーワードの形
  を書いておくのだ。

  これは、人とのことにかぎったことではなくて、映画とかマンガとか小説
  とかおしばいでも、そんな感じだ。
  登場人物や物語のストーリーも、覚えられない。
  だから、おんなじ映画を一週間後に見ると、全く始めてみたのと同じよう
  に、非常にピュアに見ることが出来る。
  これは、困ったことなのだが良いこともある。同じ映画を見ても、つねに
  新鮮な目で何回も見れるのだ。


  では、僕が何を記憶しているかというと、その時に、起こったパターンを
  覚えているのだ。
  自分自身の体験や映画などのストーリーがあるものは、「起承転結」、人
  と話をしているときは「共感・反感」「前・後」「長・短」などのパター
  ンを覚えているのだ。また、そのギャップの度合いも記憶している。

  映画を見ていると、もちろんストーリーも楽しんでいるし、映像も楽しん
  でいる。
  でも、頭の片隅で「起承転結」に分けてみているなどといった風に、全て
  をパターンでもとらえている。
  たとえば、ある映画が始まる。「起」である。
  しかし、映画の中の始まりは、決して、物語の最初から始まるのではなく、
  ある事件や回想シーン、子供の時の話など、突然始まる。
  これは、時間軸の上にある長いストーリーのどこから始めるのかも監督の
  アイデアだ。僕はここをみている。
  そして、その後「起・承・転」と来て「結」に行くと思ったら、大逆転で
  もういちど「転」が来たり、また新たなる「起」が起こって、違う側面が
  始まったりと、話は二転三転する。
  僕は、これを「起・承・転・起・承・承・転・承・転・結」というパター
  ンで、話の展開の仕方を覚えているのだ。
  だから、見終わると、そのパターンと気に入ったいくつかのシーンの映像
  だけが記憶に残り、登場人物や話のストーリーなどは全く覚えていないと
  いうことになる。


  また、誰かとはなしをしている時も、相手が僕の言ったことに「共感」し
  た、「反感」した、「前」向きな意見が出た、「後」ろ向きな考え方をし
  た。自分自身の長所を理解し、また、その反面の短所も理解している場合、
  は「長」。
  自分の短所を理解している場合は「短」。
  しかし、その短所を補える仲間や工夫があり、解決策をもっている場合は
  「短長」。すなわち、短所が長所になっている。

  などと、人と話していても、その時は集中して全ての話を理解し、自分の
  意見をたくさん話すけれど、時間が経つと、この「共感・反感」「前・後」
  「長・短」などのパターンしか覚えていない。
  どのパターンがどのくらいの量だったか、そのレベルはどのくらいだった
  か、それらはバランスよく話されていたか、僕がバランスよく話せていた
  か、ということだけが記憶に残る。


  中学生ぐらいまでは、記憶力がよくて、友達の電話番号や取引先の番号な
  ど500件ぐらい覚えられたが、その後、考え方や脳の仕掛けが変わった
  のか、先程のパターン認識が強く出るようになってから、記憶力がおちて
  きた。
  今では、電話番号は5件ぐらいしか覚えられない。


  そのパターン認識は、色々なところで発生して、常に今までのパターンと
  比べている。
  食事をしているとき、映画を見ているとき、ホームページを作っていると
  き、車を運転しているとき、音楽を聴いているとき、とにかく1日中、通
  常のものを考えている頭とは別のところで、パターン認識が行われ、それ
  が蓄積されていっている。
  そして、新しいパターンを見つけたときに、他のことにそれを当てはめて
  みると、なにか画期的なアイデアが生まれてくるのだ。

  というわけで、僕と食事に行ったり、話をしたりしても、名前を覚えられ
  ていなかったり、会ったことや話した内容を覚えていないからと言って、
  気を悪くしないでください。
  ちゃんと、違う形で、僕の中に刻み込まれていますから・・・

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