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 ●土と陶芸3(陶芸体験記)♪             かくだよしあき
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  陶芸教室にまた行き始めた訳は、最近不思議な出会いが多く、その流れに
  身をゆだねてみようと思ったからである。

  僕の仕事のクライアントであるお客様の本社ビルの一階のロビーに、凄く
  心引かれる作品がある。
  これは、「海の譜」と名付けられた作品で、絵でもなくオブジェでもなく、
  壁面に創られた空間的な作品で、見たところ、横約5m縦約4m奥行き約
  3mで、天井、正面、側面、床は青を基調とし、紅いシルエットが入って
  いて、非常に見事な作品である。その作品は全て陶石で創られている。
  そして、その上の方からその陶石をなでるように水が流ていて、なぜかそ
  の作品からは、常に風が吹いてきているのだ。
  僕はその場所に行くたびに、その作品の真ん中に立ち、その風を受けて何
  かを感じようとしているのだ。
  その作品の作者は「高鶴元」と言い、今はニューヨークで活動をしている
  らしい。

  あるとき、知り合いのバーテンダーから手紙が届いた。「新しくバーを開
  いたので来て下さい」とう案内状だった。
  早速行ってみると、バーはシンプルな部屋にライティングが上手にしてあ
  り、品のある奇麗なお店である。そして、そのお店の奥は、ギャラリーに
  なっていて、壁一面の棚には、陶器が飾ってあった。しかも30cm以上
  の大皿やしっかりとした花器など、60点以上おいてあり、それは見事な
  ものだった。
  僕はすぐにその雰囲気を気に入って、今は毎週のように行っている。

  そのバーテンダーの方からオーナーを紹介してもらったら、26歳の若者
  で、非常に個性的なアーティスティックな感じのする方だった。名刺をも
  らうと「高鶴正人」と書いてあり、聞いてみると「高鶴元」さんの甥にあ
  たるとか。
  そういえばさっきの棚の中にも「高鶴元」という名前があった。
  なるほど色々話をしてみると非常に楽しく、結局その日は、朝4時まで飲
  んでしまっていた。

  また別のある日のこと。友達から電話があって「友達のマックがインター
  ネットに繋がらないらしく困っている」とのことで、僕は快く引き受けた。
  早速会いに行くことになったが、その友達は嫁ぎ先のお店を手伝っている
  らしいので、そちらに行ってみることにした。
  それは「上野焼陶器祭り」であった。
  上野は町中に30個近い窯元があり、道沿いで作品を見て回れる。僕らは
  8個所ぐらいを回っていくつかの作品を買った。
  そして、その友達の家に着くと、なぜか奥に通されて、食事をよばれて、
  その友達のだんなさんのお父さんやお兄さんなどともビールを飲んで、め
  ちゃくちゃいい気持ちであった。窯も見せてもらい僕は上機嫌だった。

  そして、偶然にもその窯元の一つ上が「高鶴元窯」で、例の高鶴さんの窯
  元だった。
  行って見ると、ついこの間バーで飲んだ、ビールグラスが飾ってあった。
  そのグラスでビールを飲むと、泡がきめ細かくなって味が繊細になり、非
  常に飲みやすくなる。魔法のタンブラーだ。
  そこにいたおばちゃんと色々話をした後に、僕たちは帰ったのである。
  後で聞いたところによると、実はさっきのおばちゃんは「高鶴正人」さん
  のお母さんで「高鶴華山」という日本を代表する女流陶芸作家だったのだ。

  そして、しばらくすると「福岡市美術館」で高鶴元・「陶と画の宇宙展」
  が始まった。

  今、話したことは、たった2週間ほどの間の出来事だった。
  このように色々な単発で起こる出来事が、繋がって行き、流れを感じる時
  がある。
  僕はこのような状態が好きだ。こういう時の自分は、とてもよい状態にあ
  ることを自分で知ることができるからだ。

  起こっていく色々な出来事を受け止めていける自然体な心と、それに対応
  するスピードが適していれば(間に合っていれば)、このような流れを感
  じるという事がよく起こるのである。
  これは、自分がとてもよい状態にあることを表すのだ。

  そして、今回は、せっかく流れを感じることができたので、その流れに逆
  らわず、受け止めながら、また、自分からも流れを創りたいなと思って、
  「陶芸」をやってみようと、作品を作り始めたのだ。


  この頃、本当は僕は、心も体も疲れて乱れていて最悪の状態だった。しか
  し、それを打開したくて、無理矢理にアンテナを沢山張り、無理して色々
  なことに挑戦していた。
  そんなとき、この流れを感じ、最悪の状態から逃げ出せるのではと思い、
  焦らず大事に育ててみていたのだ。
  結果的には、この「ふくおかTODAY」が始まり、こうして「土と陶芸」
  なんてコラムをかいたりしているので、不思議なものである。

   さて、無理矢理創った流れの延長線上にある陶芸。
     それは、流れを加速させるのか? また、止めてしまうのか?
       その答えは、これから起こる出来事で、感じていけるだろう!!


【上野焼】
  上野焼は幽雅と風韻とを備え釉薬の多種多様なるは天下に比を見ない食器
  に用いて古来より毒消し並に中風にかからぬと伝えられ、酒の味を良くし、
  食物や液類の腐敗を防ぎ生臭気の移り香がしない。

※ギャラリーバー「ポップアート」  <TEL:092-717-1257>
  店はビルの一室にあり、看板とかも出ていないので、知る人ぞ知る落ち着
  いた大人のバーである。

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